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国際結婚の基礎知識

     
 

◆まずはじめに、国際結婚の大まかな手続きの流れについて紹介します◆

●婚姻手続き
「国際結婚は永住権や居住査証取得の早道」という事情を背景に、先進各国では偽装結婚が急増。このため、国際結婚手続きも年々複雑化しています。また、国際結婚は当事者双方の国での婚姻手続きが必要です。

1.日本の手続きし、その後、配偶者の国の手続きを行う
  または配偶者の国の手続きをし、その後、日本の手続きを行う

基本的にはどちらの方法でも可能ですが、国によってこの順番が重要になることがあります。事前に各国の大使館に確認するのがベストです。
(例:配偶者が中国人の場合は、中国側の手続きを先にすること。)
一般には、在日大使館や領事館に届を出すことで、その国(大使館・領事館の国)の手続きを行うことができます。

2.在留資格証明書の取得
結婚して一緒に日本で生活するためには、配偶者が日本に入国&生活するための資格を取得する必要があります。

在留資格には様々な種類がありますが、「日本人の配偶者等」という在留資格がありますので、これを申請します。但し、書類を揃えて申請しても資格が取れるとは限りません。入管法上の要件を立証しなければ、在留資格は得られないのです。

3.入国
在留資格証明書を配偶者に送り、ビザを取得して来日。

4.外国人登録
住民として登録するため、外国人登録を行います。これにより「外国人登録証明書」が発行され、「登録原票記載事項証明書」(住民票のような役割)などを得ることができるようになります。


 
     

     
 

●婚姻の実質的成立要件と準拠法

 婚姻(「結婚」のことを法律の世界ではこう呼んでいます。)が有効に成立するためには、例えばわが国の民法では、婚姻適齢に達していること(民法731条)、未成年者の婚姻について父母の同意が必要なこと(同737条)重婚でないこと(同732条)近親婚でないこと(同734条)など、法律が要求する一定の積極的及び消極的要件を満たすことが必要です。婚姻の有効な成立に関するこれらの要件を「婚姻の実質的成立要件」と呼んでいますが、このような要件は、日本ばかりでなく、その内容に違いはありますが、世界のどこの国の法律も規定しているところです。

ところで、日本人同士が婚姻をする場合、その婚姻が有効なものかどうかは日本の民法によって判断すればよいのですが、 日本人と外国人とが婚姻するような場合は話はそう簡単ではありません。このような国際結婚の場合、上述しました「婚姻の実質的成立要件」はどこの国の法律を適用して考えればいいのでしょうか?こういった国際間にまたがる法律問題(渉外法律関係)でどこの国の法律を選択・適用するかについて規律している法律があります。いわゆる「国際私法」と呼ばれるものです。
わが国で国際私法に当たるものが「法例」という法律です。

話を元に戻しますと、「婚姻の実質的成立要件」についてもこの「法例」の中でどこの国の法律を適用すべきか規定しています。 法例13条1項は、次のように規定しています。婚姻成立の要件は、各当事者について、その本国法によってこれを定める、
すなわち、婚姻の実質的成立要件に関する準拠法(適用する法律のことです。)は各当事者の「本国法」(原則として、その当事者の国籍の属する国の法律)とされ、日本人と外国人との国際結婚であれば、当該日本人については日本国民法が適用され、当該外国人についてはその者の国籍の属する国の法律が適用されるということです。
例を挙げて説明しましょう。例えば、19歳の日本人男性と、17歳のフィリピン人女性が婚姻しようとする場合、 そのいずれの当事者も本国法(日本人男性については日本国民法、フィリピン人女性についてはフィリピン家族法)によって婚姻適齢に達していなければならないところ、日本国民法では男は18歳・女は16歳にならなければ婚姻することができないとされており(民法731条)一方、フィリピン家族法では男女ともに18歳以上でなければ婚姻することができないとされていますので(フィリピン家族法5条)当該日本人男性は要件を満たしていますが、当該フィリピン人女性は本国法の要件を満たしていないことになり、結局のところこの2人の日本における婚姻届は受理されないことになります。なお、日本国民法によれば女は16歳になれば婚姻できるとされていても、これを当該フィリピン人女性に適用するわけにはいきません

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●性別で異なる国際結婚の居住許可

国際結婚をすると容易に居住のための許可が得られる場合が普通ですが、男性と女性によって異なる場合があります。外国人男性と婚姻した女性の場合は全く問題ありません。しかし、外国人女性と婚姻した男性の場合は国によって居住審査があったり優先居住を認めない一部の国もあります。その理由は、女性は男性の扶養下にあり男性は居住国で家族を養うための就労等を伴うことが必要な点。居住許可を得ることができても、労働許可などの別途取得が必要な国もあります。

○姓の変更
・日本名をそのままにしたい場合
変更届を出さなければ日本名のままとなり、ほとんどの人はこのケースを選択。またパスポートには()内に配偶者の姓を付けることも可能です。また子供が生まれた場合、出生届を外国姓で登録しても、子供の日本戸籍上の姓は日本姓となり、2つの姓を持つこととなります。

○日本戸籍の姓を変えたい場合
婚姻届とともに、結婚後6ケ月以内に在外日本大使館または領事館で手続きをすれば姓を変更できます。この場合、姓の戸籍表記はカタカナになります。6ケ月以降に変更する場合は日本の家庭裁判所での煩雑な手続きが必要となりますのでご注意下さい。

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●婚姻の方式(形式的要件)と準拠法

◆婚姻方式
○民事婚
日本のように役所に届け出る方式で、結婚の事実を公的機関に届け出る「届け出婚」や役所で儀式を行なう「儀式婚」などがあります。

○宗教婚
教会などでの宗教儀式によって結婚手続きを行なう方式。

◆日本で外国人と結婚
○最初に日本の役所に届け出する場合
居住地の役所へ婚姻届とともに、日本人の戸籍謄本、外国人の結婚要件具備証明書、その他の添付書類と共に提出します。但し、提出書類が法的要件を満たしていない場合は「預かり扱い」となり、法務省からの出頭要請が数ケ月に行なわれ事情を説明することとなります。尚、外国語書類は日本語訳が必要。また外国人との結婚の場合は夫婦別姓が認められます。

○最初に相手国の在日公館に届け出する場合
相手国の大使館で指定の手続きを行い相手国での婚姻を成立させます。その後、3ケ月以内に相手国の発行した「婚姻証明書」とその日本語訳を添えて日本の役所に婚姻届を提出しますが、国籍によっては、先ず日本の役所での婚姻届受理が必要なケースがあります。尚、日本の法律では日本の役所に婚姻届を提出しなければ婚姻は成立しません。

○婚姻相手の国籍によって異なる必要書類
日本では偽装結婚による不法滞在・不法就労の防止などの観点から、婚姻や居住のための必要書類が国籍によって異なることがあります。欧米国籍の場合は手続きが簡単に行え、以外の場合はさまざまな追加書類が要求されるのもこれが理由となっています。

■海外で外国人と結婚
日本人が海外で外国人と結婚する場合は、日本の役所が発行した<結婚要件具備証明書>とパスポート、その他国によっては追加の公的書類が必要な場合もあります。相手国の結婚が成立後は、相手国の<婚姻証明書>と日本の婚姻届を在外日本大使館・領事館に直接提出するか、または日本の本籍地に郵送します。いずれにせよ3ケ月以内に届出をしなければ処罰の対象となり、大使館に提出された婚姻届は日本の本籍地に郵送され、届出者の新しい戸籍が作られます。

多くの国では、婚姻が有効に成立するためには何らかの方式を要求していますが、
この「方式」もまた国によって様々です。例えば、特定の役所に届け出ることを必要としている国や、所定の宗教的儀式の挙行を必要とする国などがあります。したがって国際結婚の場合、この方式についてもどこの国の法律によるべきか問題となります。
この点、法例13条2項は、次のように規定しています。
さらに、法例13条3項では、次のように規定しています。
当事者の一方の本国法による方式は、前項(法例13条2項)の規定にかかわらず
これを有効とする。ただし、日本において婚姻を挙行した場合において当事者の一方
が日本人であるときは、この限りではない

例を挙げて説明していくと、、、
例えば、日本国内において日本人男性と外国人女性(日本人女性と外国人男性の場合も同じです)とが婚姻しようとする場合、当事者の一方が日本人で、かつ日本国内で婚姻しようとするわけですから、婚姻の相手方の国籍を問わず婚姻の方式は、「婚姻挙行地」つまり日本法によらなければ、わが国では有効な婚姻と認められません。すなわち、日本国民法739条・740条及び戸籍法74条・25条の規定によって、市区町村長に「婚姻の届出」をし、これが受理されることによって、当該婚姻が有効に成立することになります。

次に、A国人とB国人とが日本国内で婚姻しようとする場合、3つの方式、すなわち
婚姻挙行地である日本法による方式、A国人の本国法であるA国法による方式
B国人の本国法であるB国法による方式のいずれの方式によったものでも、わが国では有効な婚姻と認められます。

例えば、日本国内でA国法に定める外交婚(領事婚)をした場合でも、その婚姻はわが国で有効なものとして扱われます。C国で日本人同士又は日本人とC国人が婚姻しようとする場合には、婚姻挙行地である当該C国法が定める方式又は当事者
である日本人の本国法である日本国民法及び戸籍法の定める方式のいずれの方式であっても、わが国では有効な婚姻と認められます。
この点、外国での日本人同士の婚姻については、その国に駐在する日本の大使・公使・領事に婚姻の届出をすることもでき、これにより当該婚姻は有効に成立します(民法741条/外交婚・領事婚)

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●婚姻要件具備証明書

 わが国の方式に従って、日本人と外国人との婚姻又は外国人同士の婚姻の届出がなされるときは、市区町村長は、これを受理するに当たって、当該婚姻が「実質的成立要件」及び「方式(形式的成立要件)」を具備するか否か審査しなければなりません(民法740条)。しかしながら、外国人については、その本国法に定める実質的成立要件の内容が市区町村長にとって必ずしも明確でない場合が多く、不明確のままでは受理できるか否かの判断がつきません。そこで、従来より、外国人については
その本国法に定める実質的成立要件を具備していることを自ら立証すべきこととしており、そのために、原則として、婚姻届に、「その本国の権限ある官憲が本国法に定める婚姻の成立に必要な要件を具備している旨を証明した書面」=「婚姻要件具備証明書」を添付させる取り扱いがなされています。国際結婚でよく耳にする「婚姻要件具備証明書」とは、以上のような趣旨で求められるものです。

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●国籍関連

国籍について
外国人と結婚しても、国籍はそのままです。
外国人と結婚したからと言って、日本人が日本国籍を失うわけではありません。
外国人もまた、日本人と結婚しても国籍は元のままです。(国によって例外アリ)
相手側の国の規定により、相手国籍を取得できる場合はあります。但し、日本は二重国籍を認めていないので、日本人が相手国の国籍を得た場合は、日本国籍を放棄することになります。外国人配偶者が日本国籍を取得するための方法として、帰化申請があります。

○外国人と結婚した日本人の国籍
外国人との結婚により日本国籍を自動的に失うことはありません(一部の中東諸国など除きます)。尚、希望すれば相手国の規定により国籍を取得できる場合がありますが、国によって差異があります。また日本の場合は二重国籍を認めていないので、相手国の国籍を得た場合は日本国籍を放棄する必要が生じます。日本国籍喪失後、日本国籍に戻す場合は、他の外国人と同様の帰化申請手続きが必要ですが、元日本人の場合は決定までに期間を有するものの日本国籍を復活することは容易です。

○生まれた子供の国籍
子供の国籍は出生した国の国籍が与えられる生地主義と民族的な血統主義に大別。血統主義は更に父親の国籍だけを引き継ぐ父系主義と父母両系主義に別れます。
また、国によっては複数のシステムを採用している場合があります。

◆父母両系血統主義が原則の国
アイスランド、イタリア、インド、エチオピア、エルサルバドル、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スウェーデン.スペイン.タイ、中国、デンマーク、トルコ、日本、ノルウェー
フィンランド、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア、ロシア、スイス、ドイツ、韓国、シンガポール、オーストラリア

◆父系血統主義が原則の国
イラン、インドネシア、エジプト、クウェ−ト、スーダン、スリナム、モロッコ

◆生地主義が原則の国
アメリカ、カナダ、アイルランド、イギリス、ニュージーランド、メキシコ、フランス、アルゼンチンベネズエラ、ウルグアイ、エクアドル、グレナダ、ザンビア、タンザニア、パキスタン、パラグアイブラジル、ペルー

○国際結婚による子供の日本国籍選択
国際結婚した場合、父親または母親が日本人であればその子供は日本国籍を取得する権利が生じますが、22歳までに国籍を選択する必要があります。但し、二重国籍を認めていない日本の法律によって、日本国籍を選んだ場合は外国籍を放棄、外国籍を選んだ場合は日本国籍を放棄する必要があります。ちなみに22歳以下の国籍選択留保者は約40万人。

○日本の外国人女性との未婚出産規定
外国人女性と日本人男性との間で未婚出産した場合は、出生前に認知するか、または出産後に婚姻しなければ、国籍法第3条によって、生まれた子供に日本国籍は与えられません。但し、2006年3月29日、婚外子の日本国籍を求める裁判で、東京地方裁判所は婚外子差別をしている現行の国籍法は違憲として、原告の子供たちに日本国籍を認める判決を出しました。
尚、国籍法が改正されるかどうかについては今後の課題となっています。

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